「腎臓病の犬が療法食を食べてくれない。何かいい方法はないかな?」
「愛犬に鱈をトッピングして食べさせてあげたい。簡単で保存が効くレシピを教えてほしい」
はじめまして。
愛犬ちょちょの腎臓病療法食に鱈をトッピングして食べさせている飼い主のりあです。
鱈のトッピングが追加されてから療法食でも美味しい食事を楽しめているちょちょです。
我が家の愛犬は健康診断で偶然発覚した「腎嚢胞」という病気をきっかけに療法食デビューを果たしました。
「療法食は食べてくれないコが多いから大変だよ~」
と話には聞いていましたが、我が家の愛犬も例に洩れず全く食べてくれませんでした。
温めて香りを出してみたり、色々なメーカーの腎臓病療法食を食べさせてみたけれどダメだった…
だって不味いんだもん…
愛犬が少しでも美味しく療法食を食べられる方法はないかと情報収集し、獣医師に確認をとりながらたどり着いた方法が「療法食に鱈をトッピングする」という方法です。
療法食に鱈をトッピングする場合は必ず獣医師に確認をとってから食べさせてください。病気の種類や進行具合によっては食べさせるのは避けるべきと言われる場合もあります。
- 腎臓病の犬に鱈を食べさせてもいいのか
- 腎臓病の犬に鱈を食べさせる場合の注意点
- 腎臓病の犬に鱈をトッピングして食べさせるメリット
- 鱈のホイル蒸しのレシピ(画像付き)
腎臓病の犬に鱈を食べさせてもいい?
結論から言うと、タンパク尿が出ておらず尿毒症と診断されていなければ鱈を食べさせても問題ありません。
犬の腎臓病には皆さんがよく耳にする急性腎臓病や慢性腎臓病から、我が家の愛犬が罹患している「腎嚢胞」など病気の症状や進行度も様々です。
犬が腎臓病になってしまった場合、「タンパク質」「リン」「ナトリウム」を制限した食事が大切とよくいわれますが、その中でもタンパク質は病気の進行度が低いうちから摂取量を減らしすぎてしまうと、筋力低下を招き低栄養状態となってしまうだけではなく、免疫力まで落ちてしまいます。
特に老犬にとっては衰えてくる筋肉を維持するためにも、ある程度タンパク質を摂取することは必要なことです。
一般的に鱈は高タンパクな食材といわれますが、他の魚や肉と比較した場合それほど多くはありません。
食品名 | 100gあたりのタンパク質の量 |
---|---|
ささみ | 29.6g |
鶏むね肉(皮なし) | 24.4g |
豚もも肉 | 20.5g |
鮭(べにざけ) | 28.5g |
ぶり | 26.2g |
鱈 | 17.6g |
確かに思っていたほど多くはないな…
鱈には腎臓病の犬にとって嬉しい栄養素が他にもたくさん含まれているんだよ☆
- 体内で合成することができない必須アミノ酸が全て含まれている
- 抗酸化作用のあるビタミンEが含まれている
- タンパク質の代謝を助けるビタミンB12・ナイアシンが含まれている
- 利尿作用や血圧を下げる効果があるカリウムが含まれている
このように鱈はほどほどのタンパク質を含みつつ、腎臓病に効果が期待できる栄養素も兼ね備えているので、病気の進行度が低い腎臓病の犬にはむしろ積極的に食べさせたい食材の一つといえます。
腎臓病の犬に鱈を食べさせる場合の注意点
腎臓病の犬は勿論、健康な犬に鱈を食べさせる場合でも注意しなければならないことがいくつかあるので順番に解説していきます。
腎臓病の犬に鱈を食べさせる場合はトッピングとして少量だけ与える
腎臓病の犬に鱈を食べさせる場合の適量は病気の進行度によって異なります。
一番安全な与え方は獣医師からのアドバイスを受けてその通りにすることですが、難しい場合は療法食にトッピングとして少量だけ鱈を混ぜて食べさせてあげましょう。
少量って具体的にどのくらいだよ…
腎臓病の犬が一日の内に摂取してもいいとされるタンパク質の量は「体重kg×1.3~3.5g」です。
摂取目安に開きがあるのは病気の進行度によって制限強度が変わってくるためです。
獣医師によって多少考え方が変わってきますが、愛犬のかかりつけ獣医師からは、病気の進行度が低い場合は3.5gを目安にしていいといわれました。
体重(kg) | 目安摂取量(1.3gの場合) | 目安摂取量(3.5gの場合) |
---|---|---|
2.5kg | 2.5kg×1.3g=3.25g | 2.5kg×3.5g=8.75g |
5kg | 5kg×1.3g=6.5g | 5kg×3.5g=17.5g |
10kg | 10kg×1.3g=13g | 10kg×3.5g=35g |
35kg | 35kg×1.3g=45.5g | 35kg×3.5g=122.5g |
この表を参考に、療法食に含まれているタンパク質量とトッピングする鱈のタンパク質量を足して、目安摂取量を超えないようにすれば理論上は問題ないということになります。
そうは言われても、ドッグフードの栄養表示成分は%表記されているものが多いし複雑過ぎてわからないよ(泣)
うん…
ぶっちゃけ私もわかんない…
そこで私は(目安摂取量から数gオーバーするだけでも良くないのかな?)と考えました。
我が家の場合ですが、腎臓病療法食を目安摂取量をまもりながら一日3回に分けて食べさせており、そこに毎食3gずつ鱈をトッピングしたとしても、目安摂取量からオーバーするのは、タンパク質が+1.5g、塩分は+0.03gです。
誤差のレベルじゃん!
大丈夫なんじゃない?
早速獣医師に相談すると、
「病気の進行度が低いうちは問題無い。ただし定期健診はきちんと受けて問題が出始めたら量を減らすかやめるように。」
とあっさり許可が下りました。
絶対に大丈夫とはいえませんが、獣医師からアドバイスを受けることが難しい場合、病気の進行度が低いうちは10g程度までなら療法食に鱈をトッピングしても病気が悪化したりするようなことは無さそうです。
腎臓病の犬に鱈を食べさせる場合は塩分に要注意!
腎臓病の犬は勿論ですが、健康な犬に鱈を食べさせる場合でも購入する鱈の種類には注意しましょう。
スーパーの鮮魚コーナーで売られている鱈には「真鱈(まだら)/生たら」と「塩たら」の2種類があります。
塩たらは腎臓病の犬には勿論、健康な犬にとっても塩分が高すぎるためラベルをよく見て購入しましょう。
鮮度のいい鱈を与える:スーパーで鮮度のいい鱈を選ぶポイント
鱈は傷みやすい魚でもあるため、できるだけ鮮度のいい鱈を選んであげることも重要なポイントとなります。
スーパーで鮮度のいい鱈を選ぶポイントを紹介しますので参考にしてみてください。
- 身の色に透明感のあるものを選ぶ
- 皮が白っぽい、くすんだ色のものは鮮度が落ちている可能性大
- パックに水が溜まっていないものを選ぶ
- 水溜まりがあるものは捌いてから時間がたっている可能性大
- 身にハリがあり、切り口がシャープで、みずみずしいものを選ぶ
犬に鱈を食べさせる場合は「加熱」と「骨抜き」を忘れずに
生の鱈にはアニサキスが寄生している可能性があります。
スーパーで売られている切り身も例外ではなく、生きたアニサキスを食べてしまうと、激しい嘔吐や腹痛を伴う胃腸炎を引き起こします。
アニサキスは熱に弱いので、犬に食べさせる場合は60℃~70℃のお湯で1分以上加熱調理してから与えるようにしましょう。
骨抜きも忘れずにしっかりと行いましょう。
鱈の骨は、切り身の中央と薄くなっている腹の部分の2カ所に集まっており、割と大きめで取りやすいです。
犬に食べさせる場合は身をほぐして与えることが多いので、加熱調理をしてから骨抜きをしたほうがスッと取れて楽ちんです。
鱈アレルギーにも要注意!初めて食べさせる場合は少量から!
鱈はアレルギーの報告が少ない魚ではありますがゼロではありません。
鱈を初めて犬に食べさせる場合は、1~5g程度の少量を万が一のときにすぐ動物病院に受診できる日時に与えてください。
魚のアレルギー症状の出現は食べてから2時間以内がほとんどですが、アニサキスアレルギーの場合は食べてすぐに出現する場合もあれば、数時間後に出現する場合もあるなど幅が広いため注意が必要です。
- 異常に体を搔きむしる
- 体中に赤い発疹(蕁麻疹)がでてきた
- 下痢
- 異常に体を震わせる(腹痛か吐き気に耐えている可能性大)
- くしゃみを頻発するようになる
- 呼吸が苦しそう(呼吸困難)
- 意識を失って倒れた
腎臓病の犬に鱈をトッピングして食べさせるメリット
「腎臓病の犬に鱈を食べさせてもいい?」の章でも少し触れましたが、鱈には腎臓病の犬にとって効果が期待できる栄養素が豊富に含まれています。
以下は鱈100gに含まれる主な栄養素の表になります。
食品名 | エネルギー | 水分 | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | 塩分 | ビタミンE | ビタミンB12 | ナイアシン | カリウム |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
鱈(真鱈) | 72kcal | 80.9g | 17.6g | 0.2g | 0.1g | 0.3g | 0.8mg | 1.3ug | 1.4mg | 350mg |
体内で合成することができない必須アミノ酸が全て含まれている
鱈の栄養素のなかで最も注目したいのが「必須アミノ酸」です。
必須アミノ酸は生きていくうえで必要不可欠な栄養素であるにもかかわらず、体内で合成することができないため、食事から取り入れる以外方法がありません。
必須アミノ酸の必要種類や数は動物によって異なっており、犬には10種類の必須アミノ酸が必要と言われています。
鱈には犬に必要な10種類の必須アミノ酸が全て含まれています。
【参考:犬に必要な必須アミノ酸の種類と鱈100gあたりに含まれている量】
必須アミノ酸の名称 | 鱈100gあたりに含まれている量 |
---|---|
イソロイシン | 710mg |
ロイシン | 1,300mg |
リシン | 1,500mg |
メチオニン | 530mg |
フェニルアラニン | 650mg |
トレオニン | 790mg |
トリプトファン | 180mg |
バリン | 800mg |
ヒスチジン | 440mg |
アルギニン | 1,100mg |
抗酸化作用のあるビタミンEが含まれている
腎臓病の犬は食欲不振による食事量の低下や嘔吐、下痢、多尿により水溶性のビタミンB群が不足しやすくなります。
ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、活性酸素を除去する働きがあるため、腎臓の酸化ストレスを軽減し病気の進行を遅らせる効果が期待できます。
タンパク質の代謝を助けるビタミンB12・ナイアシンが含まれている
腎臓病の犬は腎機能の低下によって造血能力が低下し、腎性貧血のリスクが高まります。
ビタミンB12は造血ビタミンの一つであり、赤血球の生産に欠かせない栄養素なので、腎性貧血のリスクを低下させる効果が期待できます。
また、ビタミンB12は補酵素として、タンパク質、炭水化物、脂質などの代謝を助ける働きもあります。
補酵素とは酵素を補う成分です。酵素がさまざまな代謝活動を行うために補酵素は必要不可欠な栄養素です。
ナイアシンはタンパク質、糖質、脂質の代謝を助け、腎臓脂質代謝を改善し、病気の進行を遅らせる効果が期待できます。
利尿作用や血圧を下げる効果があるカリウムが含まれている
鱈には100gあたり350mgとカリウムが豊富に含まれています。
カリウムには、体内に含まれている余分な塩分(ナトリウム)を排出し、利尿作用や血圧を下げる効果が期待ができます。
腎臓病の犬によくカリウム制限が取り上げられますが、これは病気が進行し腎機能が低下してくると、カリウムを十分に尿に排泄することができず体内に蓄積してしまい、血中のカリウム濃度が上がってしまう危険があるためです。
カリウム制限は病気の症状が進行した慢性腎臓病の犬には必要ですが、病気の進行度が低いうちから制限をしてしまうとナトリウムの排出量が低下し、かえって病状を悪化させることになってしまうので注意が必要です。
腎臓病の犬に鱈を食べさせる場合はホイル蒸しがオススメ
腎臓病の犬に鱈を少量トッピングして食べさせる場合はホイル蒸しがおすすめです。
理由は、水蒸気によって食材に火を通すため身崩れしにくく、表面も柔らかいまま仕上げられるうえに、栄養素の流出を軽減し鱈本来のうま味を感じることができるからです。
ここからは画像付きで「鱈のホイル蒸し」の作り方を紹介していきます。
- アルミホイル
- フライパンもしくは鍋
- ラップ
- はさみ
- 鱈汁を入れるカップ(必要な人のみ)
- タッパー
- 真鱈(生たら) 1~4切れ
- 2週間程度で食べきれる量を推奨します。
- 冷凍保存は可能ですがあまり長く冷凍しておくと風味が落ちてしまいます。
- 参考:我が家は小型犬で一日3食3gずつあげて3切れで10日程もちます。
- 水 200ml~400ml
- 使用する調理器具の大きさや鱈の量によって変わります。
- 2切れの場合:15分
- 3切れ以上の場合:30分
鱈にしっかり火が通っているか確認してね。
画像のように白くなっていればOKだよ。
料理に慣れていない人は箸で真ん中を割って、中まで白くなっているか確認すると安心だよ。
ラップの大きさはトッピングする鱈の量にもよりますが、最低でも縦8㎝は確保しておいたほうが包みやすいです。
参考:我が家のように3gずつトッピングする場合、鱈1切れに対して6~8枚程ラップを使用します。
STEP3の粗熱をとっている間に準備をしておくと効率がいいです。
写真の量だと大体3~5gになります。
写真のように一食もしくは一日に食べさせる量で小分けにして保存しておくと効率よく解凍できます。
ほぐさない状態で冷凍しても勿論OKですが、私は骨が無いかのチェックも兼ねてこの段階で身をほぐしています。
ほぐさず冷凍する場合は、食べさせるときに身をほぐしながら骨が無いかしっかりチェックしてあげてください。
包んだあとに手のひらで少し体重をかけながら押すと空気が抜けます。
身はほぐして食べさせるので多少潰れても気にしなくて大丈夫です。
解凍するときは使用する3~4時間前に冷蔵庫に移しておけばしっかり解凍されます。
解凍し忘れた場合は、電子レンジを600Wに設定して10~20秒程加熱すると解凍できます。
ご使用の電子レンジの性能や、解凍する鱈の量により加熱時間は異なります。加熱するときは10秒ごとを目安に電子レンジの側から離れないようにして解凍しましょう。
犬の好き嫌いや病気の進行具合にもよりますが、鱈を蒸したときに出た汁を療法食のトッピングに利用するという方法もあります。
鱈の栄養素が凝縮された濃厚な出汁なので食いつきが良くなる犬が多いです。
写真のように適当なカップに入れて5分放置して粗熱をとり、ラップで蓋をして冷蔵保存できます。
生出汁なので3日以内に使い切るようにしてください。
冷蔵庫から出すとゼラチン状に固まっているときがあるけれど、鱈のコラーゲンが冷やされて固まっただけなので大丈夫♪
電子レンジを600Wに設定して10秒程加熱してあげれば元に戻るよ☆
まとめ:鱈の療法食トッピングは腎臓病の犬にも食事を楽しんでもらう方法の一つ
病気の進行具合にもよりますが、腎臓病の犬でも少量であれば鱈を食べさせていい場合があります。
鱈には良質なタンパク質だけではなく必須アミノ酸やビタミンEなど、病気の進行度が低い腎臓病の犬にとっては必要な栄養素も多く含まれています。
これは私の個人的な考えになりますが、いくら病気の進行を抑えるために必要なことだと言われても、毎日美味しくもない食べ物を食べさせられていたら、幸福を感じることができませんし、ストレスも溜まっていくばかりで、
「毎日こんな美味しくない物をただ生きるためだけに食べさせられるくらいなら、寿命が縮んでも美味しいものを沢山食べたい!」
と思ってしまうと思います。
そして愛犬もきっと同じ気持ちになるのではないかと考え、睡眠時間を削って情報収集をし、かかりつけの獣医師に何度も相談をしながらこの「療法食トッピング」という方法にたどり着きました。
この方法が今現在腎臓病と闘っているすべての犬にとって最適解な方法とは言えませんが、愛犬が美味しく療法食を食べられる方法の一つとして飼い主さんのお役に立てれば幸いです。
朗報:鱈のトッピングを止められた場合はどうすればいい?
慢性腎臓病が既に進行してしまっており、厳しい食事制限を長期に渡って行わなければならない場合、獣医師から鱈のトッピングを止められる可能性は充分高いです。
そんなときはこちらの方法を獣医師に確認して試してみることをオススメします。
記事に詳細を記してありますが、出汁にすることによって制限したほうがいいとされる栄養素が全体的に落ちるので、鱈よりも安全にトッピングできますよ。